アメリカ発祥の老舗ワークウェアブランド「カーハート(Carhartt)」は、今やストリートファッションや古着シーンでも欠かせない存在となっています。
その丈夫な作りと無骨なデザインは、多くのファッション好きを魅了してやみません。
この記事では、カーハートの歴史や古着としての魅力、さらに年代を見分けるためのタグの変遷についても詳しく解説していきます。
カーハートの古着を探している方や、タグから年代を知りたい方は必見です!
カーハートとは?歴史とブランドの歩み
カーハート(Carhartt)は、100年以上の歴史を誇るアメリカの老舗ワークウェアブランドです。
その始まりは鉄道労働者のための作業着でしたが、時代の流れとともに進化を遂げ、現在ではストリートファッションや古着の定番として世界中で高い支持を得ています。
まずは、カーハートがどのようにして誕生し、現在に至るまでどんな歩みを辿ってきたのか、その歴史を紐解いていきましょう。

カーハートの誕生と創業背景
カーハートは1889年、アメリカ・ミシガン州デトロイトでハミルトン・カーハート(Hamilton Carhartt)によって創業されました。
鉄道労働者向けの作業着を手掛けたのが始まりで、最初の商品はダック地のオーバーオールでした。
「Honest value for an honest dollar(誠実な価値を、誠実な価格で)」という理念のもと、労働者のための実用性を追求したウェアづくりが始まったのです。
創業当初から耐久性の高い素材と頑丈な縫製が評価され、やがてアメリカ全土に広まっていきました。
第二次世界大戦とミリタリー供給
第二次世界大戦中には、カーハートはアメリカ政府の要請を受け、軍需用のユニフォームやオーバーオールを製造。
この時期に築かれた信頼とノウハウは、ブランドの発展に大きく寄与しました。
また、戦後は一般市民向けのワークウェアやアウトドアウェアとしても人気を博すようになり、農業・建設業・工場作業員など、幅広い分野で支持を集めました。
ストリートと融合したヨーロッパ展開「Carhartt WIP」
1994年、ドイツを拠点とするWork In Progress(WIP)社が、カーハートのヨーロッパにおけるライセンスを取得。
そこから誕生したのが「Carhartt WIP(カーハート・ワークインプログレス)」です。
従来のワークウェアの堅牢さはそのままに、よりタウンユースを意識した洗練されたデザインで、若者を中心に爆発的な人気を獲得。
この「Carhartt WIP」の成功により、カーハートはストリートファッションやスケートカルチャーのアイコン的存在となり、SupremeやAPE、Stüssyなどとのコラボでも注目を集めるようになりました。
年代別に見るカーハートのタグの変遷と特徴

古着を選ぶ際に「タグ」を見ることは非常に重要です。
カーハートも例外ではなく、タグのデザインや表記によって製造年代や生産国、さらにはレア度を知ることができます。
特にヴィンテージ市場では、タグの違いによってアイテムの価値が大きく変わることもあるのです。
ここでは、カーハートのタグの特徴を年代別に分けて詳しく解説していきます。
【1980年代以前】Made in USA期のビンテージタグ
1980年代以前のカーハートは、すべてアメリカ国内生産(Made in USA)でした。
この時代のタグは、シンプルな文字のみのデザインで、白地に赤い「Carhartt」のロゴが入ったものが多く見られます。
また、タグ裏にサイズや品番がスタンプされており、経年による薄れやインクのにじみがビンテージ感を強調。
この時代のアイテムは縫製も非常に丁寧で、古着市場でも高値で取引されることが多いのが特徴です。
【1990年代】黄金期のタグとロゴ変更
1990年代に入ると、現在の波打つ「C」ロゴ(通称:ハートC)が採用され、ブランドアイデンティティが確立されました。
タグも白地にオレンジのロゴが入り、視認性が高くなります。
この時代のタグには「Made in USA」「Made in Mexico」など、生産国の多様化も見られるようになりました。
裏面にはバーコードや製品情報が印字されるようになり、90sカーハートは今なお多くのファンを魅了し続けています。
【2000年代以降】Carhartt WIPと新タグ
2000年代以降は「Carhartt WIP」の登場により、タグも一気に洗練された印象に変化。
WIP製品は「Carhartt」ロゴの下に「Work In Progress」の文字が入るのが特徴です。
また、現行タグは洗濯表示や製品情報が多言語で記載されており、海外向け製品も多く流通しています。
新品タグでも偽物が出回っているため、ロゴのフォントや縫製の丁寧さをチェックするのがポイントです。
古着としてのカーハートの魅力と選び方
カーハートの古着が人気を集めている理由は、その丈夫な素材や無骨なデザイン、そして着込むほどに深まる味わいにあります。しかし、同じカーハートでも時代やモデルによって個性はさまざま。ここでは、古着としてのカーハートの魅力に迫るとともに、失敗しない選び方のポイントもご紹介します。

ワークウェアならではのタフな素材感
カーハート最大の魅力は、なんといっても耐久性の高いダック地やコットンキャンバス素材。
着込むほどに風合いが増し、1点1点が唯一無二の表情を見せてくれます。
ヴィンテージ加工された新品とは違い、実際の使用感がにじみ出た古着には説得力があります。
オーバーサイズで楽しむ現代的なシルエット
古着のカーハートはサイズ感が大きめのものが多く、オーバーサイズコーデとの相性抜群。
ジャケットは男性のみならず、女性にも人気で、ダックジャケットやチョアコートは定番アイテムです。
着丈や袖丈をうまく調整すれば、ストリートにもワークにもはまる万能ウェアになります。
状態とタグで選ぶおすすめの探し方
古着のカーハートを探す際は「タグの年代」「リペアの有無」「ダメージの程度」をチェックしましょう。
特にMade in USAタグ付きのものは人気が高く、希少価値も上がっています。
また、ステッチやジップなどのディテールも時代によって異なるため、細部までチェックするのがおすすめです。
カーハートの代表モデル一覧|定番アイテムを知っておこう

カーハートには、古着市場で人気の高い名作モデルが多数存在します。
これらのアイテムは、どれも機能性とデザイン性を兼ね備えた逸品ばかり。特に古着初心者や定番を探している人にとって、モデルの特徴を知っておくことは重要です。
ここでは、カーハートの代表的なモデルをピックアップしてご紹介します。
ダックアクティブジャケット(J140/J131)
防寒性と耐久性に優れた定番モデル。
裏地にサーマルやキルティングがついたタイプもあり、冬のワークウェアとして人気。
チョアコート(Chore Coat)
カーハートのクラシックなワークジャケット。
厚手のキャンバス生地とブランケットライナーが特徴で、ヴィンテージ市場でも評価が高い。
デトロイトジャケット(Detroit Jacket)
ショート丈で都会的なシルエットが魅力。
カーハートWIPでもアレンジされており、現代ファッションとの相性も◎。
オーバーオール(Bib Overall)
創業時から続くアイコニックなモデル。
ダック生地の他、デニム素材も人気で、男女問わず人気の高いアイテム。
ダブルニー・ペインターパンツ
膝部分が二重になっているワークパンツ。
ダメージに強く、シルエットも太めでストリートでも定番化している。
カーハートの注目コラボアイテム|ストリートを沸かせた名作たち
カーハートは、ワークウェアブランドとしての歴史に加えて、ストリートブランドやデザイナーとのコラボレーションによって、ファッション性の高いアイテムも多数リリースしています。
これらのコラボは限定品として流通量が少なく、古着市場でも高騰することが多いです。
ここでは、特に注目すべきカーハートのコラボアイテムを紹介します。

Carhartt × A.P.C.
フレンチブランドとのコラボで、無骨なワークウェアに洗練されたシルエットが加わった一着。
ミニマル志向のファンに人気。
Carhartt × Supreme
数回にわたりコラボしており、特にアクティブジャケットやチョアコートなどにSupremeロゴが施されたモデルはプレミア化。
Carhartt WIP × Converse
WIPラインとのコラボスニーカー。
アッパーにカーハート特有のダック地を使い、足元からワークスタイルを表現。
Carhartt WIP × Nike
一部モデルは即完売となった激レアコラボ。
モノトーンの配色が多く、ファッション感度の高いユーザーに人気。
カーハートのタグで年代を見分ける方法

古着としてカーハートを選ぶ際、最も重要なチェックポイントのひとつが「タグ」です。
タグにはそのアイテムが製造された年代・生産国・モデルの情報などが凝縮されており、ちょっとした違いでレア度や市場価値が大きく変わります。
特にカーハートは長い歴史を持つブランドのため、タグの変遷も非常に豊富。
ここでは、カーハートのタグを年代別に見分ける方法をわかりやすく解説します。
【~1980年代】ビンテージタグ(白タグ)
特徴
- 白地に赤の筆記体ロゴ「Carhartt」
- Made in USA 表記がある
- 裏面にスタンプでサイズや品番が記載
- 素材:厚手のコットンやキャンバス地
年代のポイント
- 筆記体ロゴがクラシックで、古着市場でも人気。
- タグ裏がスタンプタイプなら70年代以前の可能性が高い。
【1990年代】通称「Cロゴタグ」
特徴
- オレンジの「ハートC」ロゴ
- Carharttの文字はゴシック体
- Made in USA / Mexicoなど複数国の製造表記がある
- 商品管理バーコードが印刷されることも多い
年代のポイント
- WIPラインではない本家Carharttのタグ。
- 白地タグで縁が黄ばんでいれば90sビンテージの可能性大。
【2000年代〜現在】WIPタグと多言語表記タグ
特徴
- 「Carhartt」の下に「Work In Progress」の表記あり(WIP製品)
- 多言語でサイズ・洗濯表示あり
- 製造国が中国、ベトナム、ルーマニアなど広がっている
- 現代的で綺麗なフォントデザイン
年代のポイント
- WIP表記がある=ヨーロッパ展開以降のモデル。
- 多言語+QRコードタグは現行品である可能性が高い。
偽物のカーハートを見分けるチェックポイント
カーハートの人気上昇に伴い、残念ながら偽物(フェイク品)や粗悪なコピー商品も多く出回るようになっています。
特に、オンラインショップやフリマアプリでの購入時には、写真や説明文だけで真偽を判断しなければならず、トラブルに繋がるケースも少なくありません。
ここでは、本物と偽物を見分けるための具体的なチェックポイントを徹底解説します。
タグの表記や縫製の質、素材感など、見落としがちな細部をしっかり確認して、安心してカーハートのアイテムを選びましょう。

タグのフォント・縫製
偽物のタグはロゴの太さや位置が微妙に異なる。
正規品はタグがしっかりと縫い付けられているが、偽物は曲がっていたり、雑な縫製であることが多い。
素材感と縫い目の品質
正規品のダック地やキャンバス生地は重厚感があり、しっかりとした硬さと耐久性を感じる。
偽物は薄手でハリがない素材が使われがち。
ジッパー・ボタン・スナップパーツ
カーハートの正規品には「YKK」「IDEAL」「SCOVILL」などの信頼性の高いジッパーブランドが使用される。
ボタンにはロゴ刻印が入っていることも多いのでチェック。
商品価格が異常に安い
フリマアプリやオークションサイトで新品タグ付きで極端に安いものは要注意。
定価の半額以下で出品されているものは出所を確認しましょう。
WIP製品の誤表記
偽物の多くは「Carhartt」と「Carhartt WIP」の違いを無視したタグをつけてくる。
例:アメリカ製のアイテムなのに「WIP」と記載されている→偽物の可能性あり。
カーハートの歴史を知れば古着選びがもっと楽しくなる!

カーハートは、労働者のための機能性を追求したワークウェアから、ストリートファッションのアイコンへと進化を遂げたブランドです。
その歴史を知ることで、古着としての魅力や価値をより深く味わうことができます。
タグや年代を見分ける知識を身につければ、お気に入りの1着を見つける楽しみも倍増します。
カーハートの古着をこれから購入したい人も、すでに愛用している人も、ぜひこの記事を参考に、奥深いカーハートの世界に触れてみてください。

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